Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

Googleの会議術考

梅田さんの"鈴木健著「究極の会議」"というエントリーで紹介されていた、" How to Run a Meeting Like Google"というGoogleの会議術を読んでみた。会議術としての基礎の基礎がある一方で、仕事術にも通じるものがありなかなか興味深い。要点を私になりにまとめると以下の通り*1

1. Set a firm agenda(しっかりしたアジェンダをセットすること)

アジェンダはそのミーティングで本当に何が達成したいかを参加者が考えるツールとして機能するので、アジェンダは会議前にきちんと定義する。

2. Assign a note-taker.(議事録をとるひとを決めること)

議事録はとるだけでなく、プロジェクターでうつし、その場で共有する。そうすれば、「何を決めて」、「何がアクションプランとなったのか」がクリアになるだけでなく、正確なコミュニケーションと理解の共有を実現できる。

3. Carve out micro-meetings.(会議は短く細切れにする)

会議は30分ではなく、5〜10分単位に細かく分割し、その短い会議の目的をクリアにする。そうすれば、本当にフォーカスすべきことが明確になるだけでなく、往々にして超多忙な意思決定者との会議を必要なタイミングで、素早く実施することができる

4. Hold office hours(オフィスアワー*2をもうける)

毎日1時間半のオフィスアワーをセットする。アポなしでレビューや承認を取得することができる。

5. Discourage politics, use data.(政治力ではなくデータで語ること)

会議中であっても、個人的な嗜好や贔屓を廃し、データと事実に基づき意思決定をする。デザインミーティングなどでも「私はこれはいいと思う」というような発言ではなく、「実験サイトの結果を見る限りこのデザインは10%よくなった」などの発言を心がける。

6. Stick to the clock.(終了時間にこだわる)

会議の生産性をあげ、時間以内に終了するプレッシャーをかけるために、会議室には会議、及び特定のトピックに残された時間を大きな時計で表示する。


特に3と4は、素早く動き、素早く意思決定しながらも、きちんと品質のレビューをするというGoogleの姿勢が表れており面白いと思う。

Mayer, who has a background in engineering and computer science, jokingly refers to micro-meetings as "reducing latency in the pipeline." That means if she has an employee with an issue that comes up Tuesday, he or she can schedule a 10-minute micro-meeting during Mayer's large time block, instead of waiting for her next 30-minute opening, which might not be available for two weeks.
Mayerはエンジニアとコンピュータサイエンスのバックグラウンドを持っており、冗談交じりに「Micro-Meeting」のことを「輸送管の空き時間の削減」と称する。要するに、ある従業員が火曜日に何かの問題に直面した時に、30分の会議をとろうとすれば2週間先まで会議をできないが、10分であれば直ぐに時間をとることができる、ということだ。

私の会社では、殆どの会議は30分。稀に15分単位でセットすることもあるが、非常にレアケース。そのせいか、超多忙な人が2人以上参加する会議では、セットするだけでかなり余計な時間がかかるし、会議の準備は今できているのに、都合が合う時間が3日後などのケースがよく発生し、意思決定のスピードを落としている。
その割りに、超多忙な人の時間を30分、ないし1時間ブロックしておきながら、アジェンダがきっちり定義されておらず、時間を浪費する輩が多く、Mayerの言うとおり「輸送管」にはかなり空きがある状態。
こういう必然的に発生する現象に対して、倫理やモラルに問いかけたり、スキル不足を嘆くだけでなく、

  • 会議時間を細分化し、その細切れの会議をサポートするシステムを整備する
  • オフィスアワーを設けることにより、滞留している問題をすくい上げる仕組みを作る
  • 会議終了時間をなるべく意識させるべく大きな時計を置く

など、後一歩の改善が必要なところを細やかなマネジメント・システムで対応しているあたりが、Googleの生産性を他社と比較し押し上げ、大きな差別化要因となっている点なのだろう。

*1:簡単な英語で書かれているのですごく興味のある方は原文にあたることお勧めします

*2:予約なしに訪問し、気軽に相談できるよう一定時間開放した時間のこと

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