Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

Googleの抱える本当のリスク

New York Times"As Its Stock Tops $600, Google Faces Growing Risks"という記事に、タイトルどおり株価が$600を超えたGoogleに対し、更なる成長をする上でどのようなリスクがあるのかが記載されている。あげられているリスクは

  • 急激な雇用の拡大に伴い品質が維持できなくなる、ボトムアップ型の戦略の弊害でコアビジネス以外に手を出しすぎているなどのGoogle内部に存在するリスク
  • 現在はYahoo!Microsoftをこてんぱんにやっつけているが、Googleを凌駕する検索領域での競合他社がいつかは出現するという競争環境におけるリスク
  • プライバシーの保護やGoogleな圧倒的な市場支配力に対する懸念から当局の介入、活動を制限するような新たな規制が制定されるなどの規制リスク

の主に3つ。


個人的には、急激な雇用に伴い従業員の質が下がるだけでなく、大組織化に伴う大企業病が蔓延し、起業家精神だけでなく、活気あふれるエンジニア魂みたいなものも、多かれ少なかれ失われてしまうという現象が早々に発生し、それこそが同社の最大のリスクと考えている。そして、その問題に如何に対処し、乗り切るかがGoogleがさらにもう10年先まで現在の地位を維持することができるかどうかの鍵と考える。

Larry Page, a Google co-founder, said at a conference last week that hiring was a big concern. “We never have enough people to do what we want,” he said. “We always need to hire. But there are limitations to how fast you can recruit people.”
Googleの共同創業者であるラリー・ペイジは先週のカンファレンスで採用が大きな心配事であると言った。彼の言葉によると、「自分達がやりたいことを実施するに十分な人材を確保できてことは一度足りともない。われわれは常に必要にかられ採用をしているが、人材を採用するスピードには限界が必ず伴う」とのこと。

優秀な人材をスピード感をもって採用する、足りない部分を外部からの調達によって補完するのは確かに難しい。以前、勤めていた会社では特定のスキルエリアの人材を人事部に紹介し、その人が採用になった場合は、100万円のボーナスがでるなんてことまであった。
でも、組織規模の肥大化に伴い、人材にだぶつきやスキルミスマッチができた時にどのように対処するのか、余っている部分を有効活用、またはレイオフ・リストラによってスリムにし、組織を筋肉質にすることはもっと難しい。その問題に直面した時に、斬新な方法で現在のGoogleの革新性を維持できるのであれば、Googleにかなう会社は間違いなくこの世に存在しない。地道な努力以外にそういった方法を知っている会社はいないからだ。ただ、そこで対応がもたつく、打つ手を誤れば、同社は多くある凡庸な規模の大きなIT企業の一つに成り下がる。その問題は来年辺りには大きく浮上するだろうから、注目してみていきたい。

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