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ktdiskのブログ

読んだ本の感想、所々の雑感、日々のあれこれを綴るブログ。

ポジティヴな想像力につなげる

"ローレンス・レッシグ、Web 2.0批判本に反論"で取り上げられている通り、『The Cult of the Amateur』で名指しで批判を浴びているLawrence Lessigが"Lawrence Lessig - Keen’s “The Cult of the Amateur”: BRILLIANT!"というエントリーで反撃をしている。ポイントは下記の通り。

  • 「インターネットによって実現される知の体系の中でどのように我々は信頼を築くべきか」、また「インターネットが混乱より、むしろ知の整理に役立っていることを確認するためにはどうすればよいのか」など、我々が真剣に考えなければならない重要な問題提起が本書ではなされている
  • ただ、残念ながらインターネット上の情報の信頼性に疑問を提起している本にも関わらず、本書に記載されている情報の信頼性も正直かなり疑わしい(というか誤りだらけである)
  • 伝統的なメディアの情報チェック機能への信頼性が本書の中ではことさら強調されているが、出版社というメディアのチェック機能の不完全さをくしくも証明することになってしまった
  • 本書から我々が学ぶことは、ブログのようなインターネット上の情報でも、出版社や新聞社のような伝統的なメディアから発信された情報でも、盲目的に信頼をおかず、懐疑的な目でみる必要があるということだ


と、かなり辛口。エントリーの後半部では、事実と反している記述が大量に抜粋され、これでもか、これでもかと痛烈な指摘がされており、かなり執拗。確かに、誤解に基づいた一方的な批判や木を見て森を見ないが如き屁理屈が本書では散見されるので、Lawrence Lessigが怒るのもそれなりに理解できる。例えば、下記のくだり。

Silicon Valley visionaries such as Stanford law professor and Creative Commons founder Lawrence Lessig and cyberpunk William Gibson laud the appropriation of intellectual property


スタンフォード大学の教授であり、クリエイティヴ・コモンズの提唱者であるLawrence LessigやサイバーパンクのWilliam Gibson のようなシリコンバレーのビジョナリーが知的財産の「不正私用」を賞賛している。
『the cult of the amateur』 〜P.24〜

合法的に著作物を共有するための受け皿を増やすためにクリエイティヴ・コモンズを提唱しているLessigに対して、「不正私用を賞賛」しているというのは確かにあまりと言えばあまり。本書の中には「クリエイティヴ・コモンズは既存の著作権の考え方を否定している」という感じの、深堀感に今ひとつ欠く「無知なおじさん」っぽい批判や「Wikipediaは専門性に欠く素人によって編集されている」という感じの、部分で全体を語るアンフェアな批判が多いのは事実。


ただ、その1つ1つに目くじらを立てて、鬼の首をとったかのように本書そのものを否定するのは面白くない。細部をつついてあるモノを否定するというのは、新しい試みのネガティヴな側面にのみ焦点をあて、その芽をつむというエスタブリッシュメントの行動様式そのものなのであまり好むところではない。細部の事実誤認に目くじらをたてず、あらぬ誤解も含めた世間一般のインターネット批判の一つの総体と本書を捉えると、ポジティヴな想像力もわいてくる

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