ドリコムの第一四半期業績考シリーズは今回で最後。最後は売上債権について見てみたい。資金繰りが非常に重要なベンチャー企業にとって、売上をあげることも非常に重要ではあるが、それと同様に売上として認識した金額の現金をきちんと回収することは非常に重要。多額の売掛金が長期に渋滞して、その上に焦げ付いてしまったりしたら倒産の危機にさらされる。
下記は"連結財政状態に関する定性的情報"からの抜粋。
売上債権が45百万円減少とあるが、別の言い方をすれば45百万円の現金が入ってきたということ。売上金額の10分の1もの売上債権が回収できたというのは、ベンチャー企業にとっては経営上の課題が一つ解決したに等しい。キャッシュフロー計算書にも下記の通り、それは表れている。
ただ、45百万円売上債権が減少したとあるが、貸借対照表を見ると、前四半期と比較すると減少どころか、16百万円増加したように見える。
この差の一つとして考えられるのはジェイケン取得によるインパクト。前四半期の連結貸借対照表にはジェイケンの売掛金は計上されていないため、ジェイケンのみなし取得時と第一四半期終了時の売掛金の差が大きく改善したことがこの差の原因の一つと考えられる。
もう一つは売掛金の一部が貸倒損失になってしまったことが考えられる。仮に売掛金が回収できなってしまい現金化できなくなったとしても、それは既に売掛金ではないのだから売上債権の減少といえば減少である。
これ以上は開示資料だけ見ても何とも言えない。ただ投資家としては、結構なギャップがあるので、新規会社取得によるものなのか、貸倒損失によるものなのか注意してみることが必要だ。今後の開示資料もこの点について十分に注意を払う必要がある。売掛金の渋滞期間や回収率なども、規模の小さい会社についてはきちんとした開示を制度として義務付けてほしい。