ktdiskのブログ

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梅田さんのサバイバル談義考 堅めのキャリア戦術

梅田さんの展開するサバイバル談義が肯定・否定・賞賛・拒絶入り乱れて色々盛り上がっており、なかなか興味深い。私も釣られて、一連のサバイバル談義について自分の解釈を書いてみたい。
サバイバルのための人体実験を公開すること
サバイバルって当たり前のことなんじゃないの
サバイバルという言葉が嫌いなら使わないで話そうか

日本人キャリアのセグメンテーション

日本人のとりうるキャリアを単純化すると、下図のようなに分類できる。

縦軸はその人のスキルの汎用性。下にいけばいく程、自分の所属する企業に限定した能力への依存度が高くなり、上にいけばいく程、様々な企業で発揮できる専門性が高くなる。*1
横軸はグローバル化度合い。左にいけばいく程、日本人・日本語色が強くなり、右に行けばいくほど海外の企業・人材との協働度合いが強くなる。
この2つの軸を使うと、キャリアのセグメントが4つに分割される。下記がそれぞれの代表例。
転職をせず、1つの日本企業に終身雇用で勤めあげるタイプ
日本の弁護士・会計士などの免許・資格を持ち、日本人・日本企業を顧客とするタイプ
日本企業の海外現地法人に長く勤める、もしくは外資系企業に勤め海外勤務をするタイプ
U.S. CPAなどの資格を持ち、グローバルな企業を顧客とするタイプ
大きな環境変化がなければ、①、②、③、④のそれぞれのパイの大きさは変わることはなく、構造的に大量に職を失する人がでるということはない。


セグメント別の比率の変化

ただ、環境というのは常に変化するもの。経済のグローバル化が進行し、プロフェッショナルの重要性が増すという昨今の流れを受け、赤線と青線の位置が変化し、パイの大きさが変わってきているというのは、非常に重要な時代認識。良し悪しは別にして、このように時代が流れていることそのものを否定する人はいないだろう。イメージで書くと下図のような感じ。重要なポイントは①のパイが減少するということ。

この流れは過去十年間で加速度を増しているが、梅田さんのポイントはインターネットの力がこれからの十年この流れをさらに強烈に推し進めるというもの。どんなに流れが加速しても①のパイがなくなるなんてことはありえないが、①のセグメントの規模を今と同じに維持することは困難。別の言い方をすれば、①のパイの減少に伴い、職を失う人がでることになる。
①のパイの減少を「異常事態」と捉え、②、③、④にシフトすることによりサバイブする必要のある人が増加するだろうというのが梅田さんの指摘するポイントだ。

サバイバル談義考

「強者の論理だ!」とか、「上から目線でけしからん!」などの批判がよせられているが、はっきり言って、そんなことはどうでも良い。別に①に属する人が今後はサバイブできないとか*2、④に所属する人しかサバイブできないと言っているわけではない。むしろ、この議論にふれ、各個人が真剣に考えるべきは

  • 青線と赤線のシフトが今後どのくらいの速度で、どの程度進むのか、を自分なりに予見し、
  • その予見に基づいて、自分のポジションをどこに置くのかを決定する

ということだ。


その結果が、「インターネットの力を駆使して、④の領域で競争力を勝ちとるために自己研鑽に励む」となるのか、「公務員のような寄らば大樹の影を追求し、①で徹底的にサバイブする」となるかは、個人の志向と力量次第なので、優劣も良い悪いもない。

もう一つだけ考えるべきこと

上記の私の考えは、①+②+③+④、即ち日本のパイ全体が変わらず、中の比率だけが変わるかのように話しているが、もう一つ考えなければならないことがある。それは、インターネットの力をフル活用した英語圏のコラボレーションが進むと、全体のパイ自体が減少するということだ。1980年代に日本の製造業の生産拠点が海外にシフトしたように、今後日本の一部知識労働も海外にシフトし、また海外にパイを奪われることは間違いない。


変化の速度はもちろん誰にもわからない。もう少し時間をかけて動向を見守るというのは一つの考えだ。ただ、インターネット・リテラシーだけは高めておき、フットワーク軽く自分のポジションを変えることができるように準備を進めておくということは、一つ堅めのキャリア戦術だと思う。

*1:もちろん、どちらが良い悪いという話は私はないと思う。巨大企業の複雑怪奇な社内手続きに精通しているという人も社会には必要だ。

*2:私は外資系大企業に勤めているが、徹底的に①のポジショニングを貫き、「あぁ、この人は会社がつぶれない限り、絶対サバイバルするな・・・」という人は非常に多い

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