Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

ネット徘徊時のOnとOff

という意見はたまに目にするし、私も同じような印象を持っている。ただ、それがイコール「そこに集まっている人が凡庸で、低俗」となるかというと、一概にそうでもないかと最近感じる出来事があった。結論から先に言えば、「脳のエネルギーを消費して知的アクティビティをしているOnの瞬間」と「脳にエネルギーを充填するために休めているOffの瞬間」というのが誰にでもあり、ネットをOff状態で過ごす人が多いことがはてブnewsingで表示される人気記事が凡庸・低俗に見えてしまう理由であると思うに至った。別の言葉で言えば、On状態の総体を見なければネットの言論の質なんて評価できない、と言うこともできる。以下、その結論に到達するまでの過程を書いた雑文なので(まぁ全て雑文といえば雑文だが・・・)脳を休めたい方はどうぞ。


先日、急性胃腸炎をわずらい2〜3日床に伏せっていた。3食お粥を食し、ベッドの脇にDAKARAを常備し、日に5度以上トイレに行き、1歳の娘の襲撃をたまにうけ、体の芯から力は出ないし、頭も朦朧とする状態がしばらく続いた。根っからの時間貧乏性のため、仕事を休み、1日ベッドの上にいるという折角の機会をえたのだから、積読状態の本でもゆっくり読もうかと思い、1冊手にしてベッドで読み始める。ところが、ページをめくって読み進めようと頭では思うのだが、残念ながら体も頭もついてこない。目は字を追うばかりで頭に全然はいってこないし、思考も全く積み重ならない。身体的には肩のこりは増すし、胃腸の容態もあまり芳しくなく、具合が悪くなる一方。しかも、体を酷使しているわりに、頭がよくなっていく感じは皆無。


「体調不良の時に読むのを今まで回避していた本を読むのは無理なのか・・・」と思い直し、もう少しカジュアルで、一塊が小さいブログでも読むかと、PCをひらきRSSリーダーを立ち上げる。アルファブロガー企画のカテゴリーでいけば論壇系、テクノロジー系のブログを読むことの多い私。いくつか興味深そうなエントリーをピックアップし、読み始めるも非常に残念ながらこれまた頭に全くはいってこない。タイトルをみて面白そうとセレクションは何とかできるが、3行以上先に進まず、「後で読む」モードに転落。なんとかガッツで読もうとするも、頭はさらに朦朧とし、首までこるし、胃腸はさらに痛むわで、いよいよ限界。遂に力つきて眠りにおちる。


再び目が覚め、じっと天井を見つめるも、どうしてもぼーっとしている時間がもったいない。しかしながら、急性胃腸炎で衰弱し、消費できるエネルギーが脳まで回っていない状態で本を読んだり、ブログを読んだりするのはどうも無理そう。妻に本屋で雑誌でも買ってきてもらおと頼もうとするもどうやら買い物にでかけたらしく、家にいない。仕方なく再度PCを開き、トライ。


上原さんのブログを開き、読み始めしばらくのこと。シックな色調のブログの中に一際際立つ赤い物体をサイドバーに発見。そこに鎮座するのはnewsingのバナー。「日本初のソーシャルニュースサイト。日本の"今"はここにあります。」という情熱的なメッセージと共に紹介される本日の注目の記事タイトル。内容は覚えていないが、「ついに判明!マリオの本名はマリオ・○○○」といった塩梅の脱力感漂うタイトルが5連発。「これが日本の"今"かよ・・・」と床に伏せりながらも突っ込むも、普段は見る気も起きないそういったリンクにカーソルが引き寄せられる。「まぁ体調も悪いし、息抜きに軽く見てやるか・・・」とクリックしたが最後。カタめのブログは体が受容しないのに、何故かこの手の記事はさくさく読める。エネルギーは充填はされないまでも、脳の消費カロリーは殆どゼロ。得るものも正直あまりないが、天井をじっと見つめているよりも楽しめる。その日に飽き足らず"今月のMonthly newsing"まで十分に堪能。


大学のゼミの先輩で、やわらかい話は一切せず、ひたすら経済学を勉強し続けるマシーンのような方がいたが、その方が留学中に「周囲は全員話す英語経済学環境にはいると、不思議と日本にいた時は興味が1ミリもおきなかった芸能ニュースをインターネットで見るのが非常に息抜きになる」といっていたのを思い出した。まぁ、私がそんなマシーンのように小難しいことばかり生真面目に考えているわけではないが、

  • 誰にでも脳がOnの状態とOffの状態があって、
  • Off状態でネットを徘徊する人というのも相当数おり
  • そのOff状態のかたがたの振る舞いの総体がはてブnewsingのサマリであるわけだから
  • はてブnewsingが凡庸、低俗だからと言って「集まっている人が凡庸で、低俗」というわけではない

と実体験を通して腹におちた。

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