Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

20代で会社を辞める前に考えるべきこと

"20代のキャリアにおける『鶏と卵』"というエントリーに対して、ありがたいことに大きな反響があった*1。やはり、はてなユーザには若手が多いのか、多くの人の琴線にふれるトピックだった模様。「勘違い労働者」などと斬って捨てられる反響ばかりだと気分があまりよくないなぁ、などと危惧していたが、肯定も否定も含め建設的な意見が多くよせられた。


その中でも、「本当にやりたいことを、後回しにして本当によいのか?」という意見が多かったので、この点についてコメントをしたい。


まず、仮に本当にやりたいことが決まっているのであれば、別の言い方をすれば少なくとも10年くらいのスパンで情熱を傾けたいと思っていることがクリアなのであれば、私もそれを追いかければよいと思う。「おいおいいきなり前言撤回かよ・・・」と思う人がいるかもしれないが、そうではない。
大事なのは、今自分が本当にやりたいと思っていることが、「本当の本当に自分がやりたいことなのか」、「10年くらいのスパンで自分が間違いなく没頭して、情熱を傾け続け続けることができることができることなのか」、という点だ。この仮定をクリアするのは、相当難しい。キャリアの早いタイミングでそこの見極めができる人は皆無に近いからだ。


もし新卒として入社1〜4年目くらいの人がいて、「今の会社には自分が本当にやりたいことがないから転職をしよう」と考えている人がいたら、下記の4つは必ずしたほうがよい。


まず、入社のタイミングの自分の想定の何が間違っていたのかを真剣に考えること。そこに立ち戻らず、直感的な自分の興味でのみ動くと、同じ過ちを繰り返すリスクが非常に高くなる。


次に、今の自分の興味が、現状の不満とは関係ないところからふつふつと湧き上がってきたものなのか、「隣の芝はなんとか」ちっくな消去法の結果から生まれてきたものなのかをフェアな視点で考えること。白黒はっきりわかれるものではないが、後者のトーンが強い場合は、まずは目の前の仕事をしっかりこなすことを優先したほうが良い。


そして、今の不満足な状況を生み出している原因を全て一旦自分に求めてみること。「上司や経営者が無能だ、やりたい仕事をやらせてもらえない」などの不満があっても、「自分の真摯な意見を相手に伝わる形できちんとコミュニケーションする努力を十分にしたのか」、「もし自分にもっと能力があればやりたい仕事をやらせてもらえるのではないか」など全ての原因は自分にあると仮定して今の状況を振り返ることが重要。もしその結果が「自分は一切悪くなく、悪いのは全て会社だ」という結論にいたったら、多分その思考実験は失敗しているので注意が必要。


最後に、同年代の人だけではなく、自分が本当に信頼できるキャリア・経験が豊かな人に相談すること。ひとりよがりにならないことが非常に大事なので、なるべく多くの客観的な見解を聞いたほうが良い。尚、自分の現在の考え方に批判的な意見が寄せられた時に、無理に肯定する自分がいたら注意をしたほうが良い。


うーん、また説教くさいことを書いてしまったが、同期がどしどし辞めていくのを横で見ながら、かつ悩める後輩から色々相談を受けたりする中で、感じ、消化してきたことなので、あながち間違ってはいないと思うので、参考にされたし。*2


尚、仙石さんがトラックバックの中で下記のような意見を寄せてくださった。

確かに、他に熱中できることがなければ、目の前の「本業」にがむしゃらになって取組むことも重要だとは思うのですが、自分が本当は何に向いているのか、いろいろ「かじってみる」余裕は持っていて欲しいと思うのです。
キャリアにおける「鶏と卵」 ── 「卵」を後回しにして欲しくない

これも非常に大事。私の言葉で言い換えさせて頂けば、「アンテナを広くはっておく」ということになるが、私も常に心がけていた。社内・社外に限らずアンテナを広くはって、自分の仕事を常に相対的に見ることは重要だと思う。あわせて参考にされたし。

*1:"20代のキャリア ""自分がやりたいと思う仕事をおっかけるのを"あと"にはしたくない""キャリアと上手に付き合うために""キャリアにおける「鶏と卵」 ── 「卵」を後回しにして欲しくない"

*2:こう書いて改めて思うが、「本当にやりたいことを、後回しにして本当によいのか?」という疑問がよせられたが、「本当にやりたいこと」を見つけた奴は、「いやぁ、うちもいい会社で、大好きだけど、もっとやりたいことが見つかっちゃった」をいうすがすがしさを漂わせている

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