Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

急がば回れ Lessigの言う「第2の経済」でのビジネスモデル作り

the Internet has reminded us that we live not just in one economy, but at least two.
インターネットは、我々はたった一つの経済の中だけで活動しているわけではなく、少なくとも2つの経済の中で活動をしていることを気づかせてくれる。

Lessigは、我々は「お金」を介して経済活動をする「営利経済」、もしくは「貨幣経済」だけでなく、「お金」がそこになくともオープンソースWikipediaのようなものができあがる「第2の経済」の中にも住んでいるんだ、と強調している。


そして、「第2の経済」がどのようなメカニズムで働くのかを理解するとと共に、その「第2の経済」の中に閉じこもらず、「貨幣経済」との連携をどのようにとるのかを考える"Hybrid Economy"を模索することも、同じく重要と説く。


「第2の経済」とはなんぞや、ということを考える上で、まず「そもそも経済学とは何か?何のためにあるのか?」ということをきちんと理解することが必要。そのために下記の書籍は非常にわかりやすい。

痛快!経済学 (集英社文庫)

痛快!経済学 (集英社文庫)

経済学とは限りある資源を効率的に活用することによって、限りのない欲望をできるかぎり満たしてやるための知恵なのです。
『痛快!経済学』 〜第1章 P.18〜

経済学は資源が希少な中で、それをどのように有効活用し、どうやって社会全体の富を最大化するするのかを考えるためにあると中谷氏は説く。


消費すればなくなってしまう食べ物やパソコンのような「モノ」を効率的に分配するために、同じように使えばなくなってしまう「お金」を介するということは、人類の大きな発明の一つであり、「モノ」社会における経済学の根幹をなすものであった。
ただ、消費してもなくならないソフトウェアや、消費すればなくなるどころかかえって価値の増す「知識」を社会全体で最大化しようとしたり、それを効率的に分配するためには「貨幣経済」は「モノ」社会における程、十分な機能を果たしてくれない。だから、「貨幣経済」以外の新しい「経済」、新しい知恵を模索しなければならない。


もちろん、作ったソフトウェアの価値が高ければ高いほど、作った人がいっぱい「お金」をもらえる、という仕組みがあったほうが、皆がよりよいソフトウェアを作れるように頑張る。そして、それを作った人にそのソフトウェアが生み出す「お金」の一部をもらえる権利を保障する仕組みがあれば、そのために頑張ろうという人も多くなる。そういう点で、「貨幣経済」は以前として大事な知恵を我々に提供してくれることは確かである。


その一方で、他の人の作成した「ソフトウェア」、他の人の考え出した「知識」の上に、新しい価値をのっける世界では、「他の人の肩に乗る」コストが安ければ安いほど、その活動が促進され、社会全体での富が多くなるというのも事実。そういう意味で、「ソフトウェア」や「音楽」のようなものに対する権利を保証しすぎることは、社会全体の富を考えるとマイナスに働いてしまい、ここにコンフリクトが生じる。


Web2.0でどんなビジネスモデル(お金を儲ける仕組み)を作るか?」なんてことが、キャッチーなキーワードではてブが多数つくような風潮があるが、「第2の経済」における「社会全体の富の最大化」がまずあり、それが「貨幣経済」どどうつながるのかという順番で考えるというステップがビジネスモデルを作る上で、遠いようで一番近いのではないだろうか。急がば回れ」とはよく言ったものだと思う。

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