Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

Web 2.0のメカニズムは搾取か?

Nicholas Carrがまたまた下記のような過激なことを書いている。

Web 2.0's economic system has turned out to be, in effect if not intent, a system of exploitation rather than a system of emancipation. By putting the means of production into the hands of the masses but withholding from those same masses any ownership over the product of their work, Web 2.0 provides an incredibly efficient mechanism to harvest the economic value of the free labor provided by the very, very many and concentrate it into the hands of the very, very few.

WEB 2.0の経済は、意図的でないにしても実質的には「解放」というより、「搾取」のシステムになりはてた。生産手段を不特定多数無限大のに委託しつつも、その不特定多数に彼らの成果の所有権を渡さないことによって、

  • 不特定多数無限大の無償労働によって提供される経済価値を育成し、
  • それを極限られた寡占サイトに集中させる

というとんでもなく効率的な仕組みをWeb 2.0は提供するのだ。

要するにCGMCGMと言ったところで、YouTubeに動画をアップロードした人には$1のお金も入らず、サイトの運営者のみが$1.65Bもの巨額のお金を懐にいれるなんていうのは、搾取以外の何者でもないんではないか?」ということだろう。


生活するための糧をえる選択肢が他にない労働者から、地主・資本家がその成果を掠め取る「搾取」という言葉を、世間からRecognizeされることを何より求めるCGM作成者に同じように適用しようというのは、「Recognizeされたいという人々の欲求の強さ」、「それが人を突き動かす力」を少し過小評価しすぎな印象を受ける


また今後、下記のようなサイトが出現することが想像されるが(もしかしたら既にあるかもしれない)、

  • YouTube上の動画よりもっと画質・内容の面で質が高く、
  • 作成する人間もプロ、もしくはセミプロと言われている人達で、
  • その質に応じてコンテンツ提供者に対価が支払われる仕組みを提供する

おそらく、コンテンツ提供者に金銭的な見返りがありながらも、そちらのほうがより「搾取」色が色濃くでるのではなかろうか。というのも、その手のサイトにはCGMの台頭によって職にあぶれたクリエーター達が、日銭を稼ぐためだけに自分のスキルを活かして、渾身の作品を提供することが想像されるからだ。
金銭的な対価を無視してはもちろんならないが、それ以外のこの経済を動かす力学も視野にいれなければ本質は見えてこないだろう。

Creative Commons License
本ブログの本文は、 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 - 非営利 - 継承)の下でライセンスされています。
ブログ本文以外に含まれる著作物(引用部、画像、動画、コメントなど)は、それらの著作権保持者に帰属します。