eBayとGoogleが、米国外のeBayサイトに表示される検索連動型テキスト広告で提携することを発表した。今後は2社で広告収入を分け合うことになる。また、インターネット音声通信技術を用いて広告主と消費者を結びつける「Click-to-Call」広告の開発でも、両社は協力していくという。
熾烈化する広告パートナー獲得競争--イーベイがグーグルと提携を発表
eBayといえば今年の5月にYahoo!と提携したのが記憶に新しい。この時は、Google包囲網を形成する両者の組み合わせは理に叶っているとウォールストリートのアナリスト様は憶測していたが、これが見事に外れることになった。
実は、ひっそり"eBay・Yahoo!の「いいとこどり」戦略は机上のはなし"というエントリーを書いており、今回のeBayとGoogleの提携というイベントを見ても、下記の内容は結構的をえていたようなので、ただ今小さくガッツポーズ中。
今週に入り、ウォールスストリートのアナリストらは、両社の提携について、理に叶った組み合わせなのではないかと憶測していた。双方のリソースを共有できるようにすれば、検索や広告などのサービスや顧客基盤をを有利に活用していけると、アナリストらは述べていた。
グーグルの勢いを止められるか--ヤフーとイーベイが提携へウォールストリートのアナリスト様の「理に叶った組み合わせ」の意味するところは、
- Yahoo!はグラフィック広告のノウハウをeBayに提供し、eBayは膨大なページビューの現金化をはかる
- アメリカで最もメジャーなオンライン決済サービスのPayPalというインフラをYahoo!が有効活用する
といようにYahoo!とeBayは程よい補完関係にあり、「いいとこどり」をすると最強キャラになるというあたりだと思うが、私は今回の提携は意外とうまくいかないんじゃないかと思う。
理由は下記の2つ。
- この提携は必ずしも顧客の利便性を高めるものではない
- 巨大インターネット企業同士の「いいとこどり」は有効に機能しない
つまるところ、今回のeBayとGoogleの提携が意味することは、大手のインターネット企業の包括的提携というのは、事業特性、及び顧客の利便性という2面でみて、うまくいかないということだと思う。
特に事業特性について考えると、
という2点が重要なように思う。
自社で担いでいる製品/技術/サービスですら一蓮托生という感じに固執しすぎないことが重要なのに、まして他社の担いでいるものが足かせになるのは論外。eBayの担いでいるPayPalを一生懸命推進していた「鈍重なYahoo!」と、既存の提携にこだわらず幅広いの提携オプションを検討していた、「したたかなeBay」という構図が今回浮かび上がってきた。
また、銀行であれば「関西はUFJと提携し、関東はみずほと提携する」なんていうコンポーネント毎の提携は不可能であるが、事業や特定技術や地域などのいかなるセグメントでも、提携パートナーを組み替えることができるという、インターネット事業の柔軟性が、今回の提携でより鮮明になったことも特筆すべき。
今回のeBayとGoogleとの提携を期に、なんでもありの合従連衡が加速することは間違いない。今後どんなダイナミックな動きがでるのか注意してみていきたい。