ktdiskのブログ

読んだ本の感想、所々の雑感、日々のあれこれを綴るブログ。

今日だけでなく明日をみる想像力

何に基づいて経営判断するか、という視点で企業経営を見ると下記の2タイプに分類される。

  • 過去を今日分析して、"明日うつ手"を考えるタイプ
  • 今日と明日を見て、"今うつ手"を考えるタイプ

前者は過去のデータを集計・分析したり、過去におきた出来事に基づいて、今後何をするかを考えるというもの。
「先のことはわからないけど過去のトレンドから判断するとこうなるはずだ!」という発想で、「おこった出来事に対して受動的なスタイル」と表現することもできる。
後者は将来何が起こるかについて仮説をたて、その仮説に基づき今何をするかを考え、おこった出来事に対して仮説とあっていたのか、あっていなかったのかを日々検証しながら、軌道修正をしていくというもの。
「将来○○になると、ビジネス上のインパクトが××くらいあるので、今は△△を選択しよう!」という発想で、「おこった出来事に対しての迎撃体制を常に整えておくスタイル」と表現することができる。
尚、図にすると下記のような感じ。

わかりやすい例で言えば、第一四半期の売上の結果を第二四半期に見て、売上が伸び悩んでいるのを認識し、第二四半期の間にその建て直し案を考えるのが前者で、第一四半期の売上予測を当該四半期中に見て、売上が伸び悩みそうならそれに対する施策を今考えるというのが後者ということができる。
もちろん、2つのタイプの一番の違いは、何かがおきた時の対応へのスピード感である。


お堅い企業経営の話をしたが、この議論は「日々起こる出来事に対してモノを考え、ブログを書く」という行為にもあてはまる。すなわち、ブログにも

  • 何かのニュースに対して、そのおきた結果を過去の出来事として評論するにとどまるブログ
  • 何かのニュースに対して、それが未来にどう連続していくのかという予見にまで大胆に踏み込むブログ

の2つのタイプがある。
あっていようが、間違っていようが、あれこれ考えた上で「こうなるはずだ!」と将来の予見に踏み込めば、新しく飛び込んできた出来事に対する思考のスピード感が全く異なる。色々な前提をあれやこれやと考えた上で、将来予測をしていれば、何かがおきた時に、「自分の元々の考えのどこがあっていて、どこがあっていなかったのか」という視点でその物事を捉えることができるからだ。当ブログも、もっとそこまで踏み込まないといけないと認識はしているのだが、残念ながらそういう良質なエントリーは少ないといのうが現状・・・。
Googleはどんな会社を買収するのか
に代表されるように梅田さんのブログはそういう意味で、積極的に将来についての予見が盛り込まれている代表的なブログで、さすがという感じ(最近はもっと腰のすわった論旨展開をされているという印象もうけるが・・・)。

「ああ、こんなことを書いていたか」と恥ずかしくなるような部分もあるにはあるのですが、本文には加筆修正を加えず、「文庫のための長いあとがき――シリコンバレー精神で生きる」を書き下ろして、増補することにしました。当時の判断における誤りや失敗も「長いあとがき」の中で総括しました。
「シリコンバレー精神」(ちくま文庫、8月10日発売)

梅田さんの前著『シリコンバレーは私をどう変えたか』は、変化の真っ只中で積極果敢に変化の本質的な意味を捉えようという知的格闘の痕跡が多分に含まれる私の好きな本の一つ。「今からみれば当たり前」、「今から見れば的はずれ」、「今もってなお斬新で本質をついている」、「今もってなお明らかになっていない」、ご本人が上述の通りおっしゃっているようにそんな要素が多分に含まれている。
ただ、加筆修正を加えるよりも、誤りや失敗を思い切って総括してしまうほうが、意味があると思う。何故ならば、思い切って将来のモノを書くのは、あたった外れたを競うためではなく、自分の思考のスピードを早めるためであるし、過去の思考の形跡を振り返るのは自分の立つべき位置を確認し、そして本質を見抜き、先々を見通す力に磨きをかけるためにするのだから。

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)

グーグルが水面下で未来を構想していた頃に、私を含め、世の中は、誰に注目し、どんなことに悩み、何に一喜一憂していたのか。現在から近過去を振り返ってそんな読み方をしていただくと、次代の担い手たちが今も世界中のどこかに必ず居て、未来について私たちとは全く違うことを考えているはずだ、という想像力が生まれるのではないかと思うのだ
9/1(金)東京、対談イベント「「シリコンバレーのビジネス風土」と「オープンソースの思想」」

過去の思考の痕跡を今梅田さんがどう振り返り、何を語るのか非常に楽しみ。ご本人だけでなく、再度読む人間も、「今日だけでなく明日をみる想像力」がかきたてられるのではないかと大いに期待している。

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