- 作者: トーマス・H・ダベンポート,ジョン・C・ベック,高梨智弘,岡田依里
- 出版社/メーカー: シュプリンガー・フェアラーク東京
- 発売日: 2005/09/13
- メディア: 単行本
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- 情報そのものは消費されてもなくならないが、情報の受け手のアテンションが消費され、消失する
- 故に情報過多の現代は、情報を消費する人のアテンションの欠乏状態にある
- よって、アテンションという資源の希少性を認識し、それをうまく経営管理すべきである
- 尚、知覚された情報に対して、何某かの行動を起こそうというトリガーをひくのがアテンションである
第1章、第2章で上記のような、「情報」というものへの関わり合いを真剣に考える人がおさえておくべき重要なコンセプトがクリアに語られており非常に勉強になった。
以前、『「みんなの意見」は案外正しい』にでてきた下記のPhraseを見て、感銘をうけたが、知識や情報の価値が増すためには、それらの受け手のアテンションが燃料として注がれる必要があるという重要な側面も理解することができた。
オルデンバーグは知識というものが持つ独特の特性を深く理解していた。それはほかの資源と違って、消費されて枯渇してしまうような類のものではなく、価値を失うことなく広く行き渡らせることができる。むしろ知識は広まれば広まるほど、その価値が増す可能性は高くなる。知識の使い方は幅が広がるからだ。
- 作者: ジェームズ・スロウィッキー,小高尚子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/01/31
- メディア: 単行本
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『「みんなの意見」は案外正しい』 〜第8章 P.182〜
尚、ここまでは非常に入りやすいが、それ以降の章を読み進めるのに、現在私は多大なストレスと時間と労力を求められている(あげくの果てに読破する前に、耐え切れず書評を書き始めている有様である・・・)。その原因は下記の通り。
- 本論と関係のない注記・コラムがあまりに多く挿入されており、本論を理解するアテンションが欠乏する
- 冒頭でアテンションを定義しておきながら、他の章では「かけらた時間や労力=アテンション」かのように語られてる箇所が散見され、理解を難しくしている
- 如何に世の人の注目を集めるかのテクニックの紹介(情報の受けて向けにカスタマイズした情報を提供する、など)などの安いマーケティング本に掲載されるような退屈な議論・具体例の紹介があまりに多い
- 5年前のインターネット環境を題材に語られているため、『アテンション・エコノミー』という視点で、現在、そしてこれからのインターネット動向を理解するための参考情報は非常に少ない
これから読もうとされている方は、上記を留意した上で読むことをすすめる(例えば、注記などは全て読み飛ばし、後から注記だけ読むなど)。
第1章、第2章、最終章あたりを熟読し、後は興味があるところをつまみ食い的に読み、節約された時間を、そこでえた視点を用いながら最新のインターネットの動向読み解くことにあてるほうがよろしいかと。それでも、2000円の価値は十分にあると思う。
尚、表紙があまりいけていなかったので、原書はどんな感じなのか確認してみたところ(邦訳版はかっこわるいが、原書はかっこいいというものもよくある)、同様にいけてなかった・・・。