Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

ポッドキャストと労働市場におけるロングテール

castingWords.comというポッドキャスト書き起しサービスがあります。mp3ファイルのURLを送って依頼すると、それをテキストにして返してくれるサービスです。
アンカテ(Uncategorizable Blog) - 総務部系おばあちゃんの知恵的作業のググル化

ポッドキャストスクリプトを作成してくれるサービスがあるとのこと。ネイティヴにもよいが、ネイティヴでない英語学習者にとっても嬉しいサービス。今度利用してみようと思う。


で、誰がスクリプトを作成するのかというと

それで誰が実作業をやってるかと言うと、ネット上で募集されたワーカー(Turkerと言うらしい)です。ワーカー向けのFAQページがあって、次のように書いてあります。

ターカーとは、当サービスの秘密(でもないか)成分です。彼らが、書き起しと編集の実作業を行ないます。彼らは、コンピュータとネットがあればどこでも好きな時間にこの仕事ができます。義務は発生しません。

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とのこと。"Turker"どっかで見たようなフレーズ・・・。そう以前、

というエントリーで紹介した、機会より人間が得意そうな作業(写真に写っている人の人数を数えるなど)を人間に委託する"Amazon Mechanical Turk"をこのサイトは使用しているらしい。
castingwordsでスクリプト作成をしたい人は"Amazon Mechanical Turk"へのユーザ登録が必要で、その登録者はすでに3千人を超えている。もちろんそのうち全てが働いているわけではないだろうが、3千人以上というと結構な数だ。
無数のポッドキャストの中からあるもののスクリプトが欲しいという雇用者のニーヅと、リクエストのあった日に24時間以内にスクリプトの作成ができる程度の英語力とタイピング能力があり小銭を稼ぎたいという労働者を結びつけるという、「労働市場におけるロングテール」に着目したサービスで私はかなりセンスがいいほうだと思う。

castingwordsが、このデータベースをどのような形で公開するかわかりませんが、このデータベースの存在によって、良質なPodcastingの検索は非常に容易になります。
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id:essaさんはポッドキャストのデータの蓄積がなされることが注目されているが、このサービスを通してcastingwordsが蓄積するもう1つの重要なデータがある。それはポッドキャストスクリプト作成という仕事を受託する人のリストとその登録者の作業品質に対する評価だ。今どのくらいのデータの蓄積があるのかわからないが、「品質や仕事のスピードに絶対の信頼がおけるのは誰か」という情報が手元にあるということがcastingwordsの強みになることは間違いない。
"Amazon Mechanical Turk"もまだ今ひとつ流行っていないようだが、こうした形で特定の作業を定義して、その作業をするスキルにあふれる個人の情報を蓄積する会社はどんどん増えていくだろう。


ちなみに、castingwordsはAmazon Mechanical Turkを通して下記のようにスクリプト作成作業をする人の募集をしている。

「23分のポッドキャストを$4でスクリプト作成して欲しい」などの情報が公開されており、原価があまりに丸裸で苦笑してしまった・・・。これなら、別にcastingwordsに頼まなくて、Amazon Mechanical Turkで直接頼めばいいんじゃないかと思ってしまうが、「直接頼むよりうちに頼んだほうが早くて品質高いでっせ」というあたりが彼らの売りなのだろう。現にスクリプト作成者のコミュニティを作ったり、ダブルチェックの体制をしこうとしているように見えたり、それなりに頑張っている模様。今後どうなっていくのか注目していきたい。

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