ktdiskのブログ

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既存メディアの再編を阻む3つの要素

R30氏は「Googleが火をつけたイノベーション競争の本質とは、ユーザーに適切なコンテンツを適切に届けるというマッチングができていたことだ」と語り、「マッチングの主導権をネットが取ることで、マスメディアという概念は確実に解体する」という意見を披露。「メディアは今後、特定の趣味や地域に絞ったターゲットメディアや、リアルとネットのハイブリッドといった姿に変化していくのでは」と続け、「そういう意味では、自分の顧客やターゲットセグメントを認識できている企業はメディアとして立ち上がるだろう」との考えを示した。
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/event/12759.html

「技術革新が粛々と進行すれば、そのスピードに応じて上記のような流れが着実に進行するか?」と言えば、決してことはそれ程単純ではない、という意見が「梅田望夫がブロガーと語る「ウェブ進化論」」ではいくつかだされた。
が、それは「だから革新は進まない」、「だから、今以上に質の高い情報が手元にこない」ということを言っているわけではなく、技術革新というねじが巻かれた分だけ時計の針が進むわけではないということを言っているでけであり、技術革新以外のねじの存在も意識し、巻けるところは巻いていかないと時計の針は思ったとおり進まないという話に過ぎない。

おもしろかったこと 梅田さんのネット悲観論
梅田さんが「ネットが既存メディアに与える影響はそれほど大きくない」旨の発言を繰り返してたことが一番意外でおもしろかった。
http://d.hatena.ne.jp/kokepi/20060208

「何を巻かなければならないのか?」という点をあぶりだしたととらえれば、決して悲観的ではないし、悲観的になる必要もないし、むしろ前向きな議論だったと私は解釈してしまった(よってとっているポジションはid:kopekiさんと同じ)。


以下に、議論の中で、指摘された「時計の針の進行を思った以上に遅くする要素」を整理してみたい。
ポイントは3つ。

  • 情報に対する関心度合いが低い層では、既存メディアからネットへのシフトはおこりにくい
  • 既存メディアという抵抗勢力の存在し、この方達は結構手ごわい
  • 人間の情報摂取のライフスタイルは急には変わらない

1点目については、

  • 理知的なレベルの情報ではなく、単純に面白いネタを求めるセグメントが相当数存在する
  • 深く知りたい分野はネットで、浅くてよい分野は雑誌で、個人の中でもすみわけがある

という指摘が議論の中であったが、全ての人が全ての情報に対して高い関心を持って質の高い情報を求めるかと言えばそうではなく、人によっては、また分野によってはお手軽情報で十分という層があり、そこの層ではわざわざ既存メディアとインターネットの逆転がおきないのではないかということだと思う。
確かに、音楽にそれ程こだわりのない私が「mF247」からこだわり音楽を探し出し、聴くかというとあまりそういう気にはなれないので感覚的に正しいと思う。ただ、技術革新によって、簡単にできるということがわかり、もしくは意外と楽しいという自分が発見でき、よりインターネットの方向にシフトをするということは十分あると思う。要するに、「既存メディアからネットへのシフト」がおきにくいパイは確実に存在し今後も残るが、うまく普及をさせればそういうパイそのものも小さくなりうると私は考える。


2点目については、

  • メディアには流通チャネル、コンテンツ作成、編集/パッケージングという3つの機能がある

という話があり、機能性だけを追及すれば、コンテンツ作成は一般企業や個人にシフトしたり、編集/パッケージははてブにシフトしたりして、既存メディアの役割が少なくなるはずだが、そこはエスタブリッシュメントとして既存メディアが自らの機能向上以外の頑張りをするでしょう、というもの。
この件については、私も梅田さんと同感で、先方の相当な頑張りが想定されるし、変える側も先方の5倍くらいの頑張り(大体守るより攻めるほうが難しい)をしないとなかなかひっくりかえらないというのは肌感覚としてある。経験的に対策として言えることは、「外からの圧力」、「内からの圧力」の2つをうまく使わないといけないということ。
ここでは委細は述べないが、「外」で大事なのは「変えなさい!」というインターネット側の力ではなく、「やっていないのはうちの会社だけかも」という「横並び意識」をうまく活用すること、「内」で大事なのは、社内からも「良い方向に変えていくべきなのでは」という声をおこさせることだと考える。


3点目については、
以前、「人間は変わることを意味もなく恐れるものである」なんてことを書いたが、情報摂取も例にもれず同じということだろう。
進歩度合いが控えめの場合は、下記のように普及活動などを地道にやっていく必要があるが、

増田さんという方の団塊の世代向けブログの本(asin:4047041874)がすごい売れて、
退職した後でブロガーになる人が増えているらしい
http://d.hatena.ne.jp/pekeq/20060208

電子メールがあっという間に普及したように、技術のもたらす便利さが破壊的であればその伝播というのはものすごく早いものなので、この点については技術革新に応じてライフスタイルは変わっていくと考えてよいと思う。新聞くらいの軽さで、折りたたんだりすることができる、安価な電子ペーパーでネット経由で配信された新聞を読むことができるようになれば、誰も紙の新聞なんて持ち歩かなくなるし、何某かのカスタマイズを殆どの人はするようになることは間違いないと思う。

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