アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから (NT2X)
- 作者: FPN,徳力基彦,渡辺聡,佐藤匡彦,上原仁
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2005/10/21
- メディア: 単行本
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僕はブログの面白さや意義は、「世の中には途方もない数の、これまでは言葉を発信してこなかった面白い人たちが居て、その人たちがカジュアルに言葉を発する仕組をついに持った」ということに尽きると思います。
・・・<中略>ただ、素朴な疑問があります。数が増えるだけでは埋もれてしまうばかりではないのか、というものです。つまりネット上のコンテンツは玉石混淆であり、玉石はあっても誰からも見つけられないのではないか、という懸念です。この懸念が検索エンジン、ブログ周辺で起きているさまざまなイノベーションによって払拭されようとしている、今はそういう段階にあると思います。
『アルファブロガー』 〜Interview11 P.223〜224〜
上記のとおり梅田さんが言うように、ブログがさらに普及していき、技術による情報のフィルタリングが有効に機能し、玉石混淆の問題が技術によって払拭されるという状態を明るい未来とすると、そこではアルファブロガーのブログ論/ネットの未来に対する考え方などはいともたやすく抽出できるようになるだろう。もしそんなことが可能になるのであれば少なくとも私は1500円というお金を払ってこの本を購入しない。
一方で現時点では、11人のブロガーのブログを全部丹念に読んだり、彼らのインタビュー・対談記事などをWEB上で探して読んだりしたら、きっとこの本に記載されている情報をおおよそえることはできるだろうが、Amazonで同書を購入するのと同じくらいの労力でその情報を引き出すのは今の技術では残念ながら不可能だ。WEB上を探しまわる労力を払うくらいなら、私は1500円払うし、2005年に出版された『アルファブロガー』についてはそれだけの価値があると感じている。やっぱり現時点では書籍出版というフィルタリングが技術による情報のフィルタリングより勝っているということは読後に感じたことではある。
ただ、2006年版、2007年版と仮に出版が重ねられるとしても(毎年出版されるかどうかわからないが・・・)、1500円の価値をその時に保っていられるかは非常に微妙だ。「あの情報なら1500円も払わなくても、1クリックで十分にみれるよね」という明るい未来が本当にくるのか、「所詮ブログ、無料で見れる情報と出版された情報とでは、やっぱり質は違うよね・・・」という状態がずっと続くのか、今後の技術革新の度合いによってそれはきっと異なる。前者のような状態になることを望むが、こんなタイプ本が出版されるか否かが一つのバロメータになるかもしれない。「書籍出版というフィルタリングが今後どれだけ必要であり続けるか?」、運営チームに出版後の感想として聞いてみたい。