私の自己学習に新たな展開が生じたのは、一九九九年春の出張のときだった。ロンドンで消費者金融事業の三十六歳のCEOに会った。その事業検討会議の席でたまたま本人がちょうど自分のメンターに会ってきたところだと口にした。
- 作者: ジャック・ウェルチ,ジョン・A・バーン,宮本喜一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2001/10/22
- メディア: 単行本
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私は聞いた。「君のメンターだって。どうして君のほうがハイポテンシャルを教育していないんだ」
「いいえ、ちょっと違う話なのです。私は二十三歳の若者と週に三時間から四時間いっしょに過ごして、私のほうがインターネットの使いこなし方を教わっています―私は生徒なんです」
私は即座にこの考えに恋してしまった。
・・・<中略>帰国するとすぐに、上位のリーダー五〇〇人にインターネットのメンターを付けるように指示した。年齢は三十歳以下が望ましい。メンターの多くはわれわれの歳の半分以下で、毎週三時間から四時間以上、ネアンデルタール人に接するような調子でわれわれに協力した。
・・・<中略>
二〇〇〇年のはじめ、このプログラムも会社の上位三〇〇〇人のマネジャーに拡大した。これは組織を「ひっくり返す」すばらしい方法だった。聡明で活力に満ち満ちた若いマネジャーをトップの経営陣にあわせる機会ができたのだ。いうまでもなく若者のほうが経営陣にインターネットを教えていたのだが、インターネットの話を教えているあいだのさまざまな何気ない会話を通して、経営陣のほうはまた新しい才能を発見し、社内の本当の現状に対する理解を深めることができた。
『ジャック・ウェルチ わが経営㊦』 〜P196-197〜
「読みっぱなし」にしていた本の面白そうな部分だけ拾い読みするということを最近よくしている。ちなみに、私の中で「読みっぱなし」とは、読んだ本の内容について、自分の頭で考え、「この前読んだ本にこんなことが書いてあって・・・」という話を人にできるようになるまで咀嚼するというプロセスをへずに、一通り読んだだけのことを指す。『ジャック・ウェルチ わが経営㊦』の中に「Eビジネス」という章があり、Surper Competitiveなアメリカの経営者どんなことを書いていたのか、読みっぱなしていたせいか思い出せなかったため、この章だけ読み直してみた。
".COM"企業(この言い方も大分古いが・・・)と"Big/Old, and getting IT"とではどちらに競争優位があるかということが記載されており、それはそれで興味深かったが、一番「やっぱ、ウェルチはすげーなぁ」と思ったのは、上記の長文の引用。9月16日に実施された梅田さん講演会で「若い人に教わることを忌避するな」というメッセージが発信されていたが、それを正に地でいっている。新しい考えを取り入れることに前向きで、なおかつそのために最も効果の高い方法があれば組織の上下なんておかまいなしというその実行力も立派だが、おかげで組織がひっくり返ってよかったとさらりと言ってのける辺りも、超一流の経営者と言われるゆえんなのだろなぁとすっかり感心してしまった。