Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

決算早期化考

カスタマーエコノミー革命―顧客中心の経済が始まった

カスタマーエコノミー革命―顧客中心の経済が始まった

オールアメリカの採用した方法は、直接管理できる対象であるオペレーションが、最終的にどのように顧客の行動に影響を及ぼすかを正確に見極めるビジネスモデルをつくり、そのビジネスモデルが特定した評価データを活用して、規律ある方法で管理可能な要素を改善した
『カスタマーエコノミー革命』 〜第5章 P.158〜

「営業の計上金額と経理の計上金額の乖離の原因追求、修正に時間を要する」、「固定資産の稟議がルールに従って処理されずデータの確定に時間を要する」などの問題は決算早期化を取り組む際に度々でる問題である。が、所詮は直接管理可能なオペレーションの世界の中の話であり、①計上ルールの統一、②評価データの特定(=営経乖離の原因)、③社内における管理責任の明確化により解決が可能と思われるが、②は手をつけることができても、①、③をしっかりできる企業は残念なことに意外と少ない。

世界最高の正確な評価システムであっても、険悪な環境のもとで実行されれば失敗してしまう。ビジネスモデルを作り、評価システムを活用して業績改善を進めるのは、技術だけでできることではない。人の生き方・考え方、つまりマネジャーの自己認識やビジネスの見方を根本的に変革する必要がある
このアプローチは、ビジネスの目的意識を明瞭にした視点を確立し、評価システムは経理上の付け足しではなく、ビジネスを運営するために不可欠な要素であると理解することが出発点となる。また、主観的な意見より客観的な事実を、できない理由より改善への気概を、責任を転嫁するより誠実さを、受動的な姿勢より積極的な行動を、問題の回避より問題の解決を重視する企業文化を培わなければならない。
『カスタマーエコノミー革命』 〜第5章 P.165〜

①計上ルールの統一、③社内における管理責任の明確化に取り組むためには、営業部のマネジャーの意識変革が必要となるが、意識変革が十分にできているかどうかをはかるために上述の記述をそのバロメータとするのは面白い。
・客観的な事実ではなく、主観的な意見がだされていないか
・改善への気概が乏しく、できない理由ばかりあげられていないか
・積極的な行動がとられておらず、姿勢が受動的ではないか
・問題は解決の方向に向かわず、回避の方向に向かっていないか

ただ、意識改革できているかどうかを上記のように分解してみると、結局改善への気概の乏しい人を鼓舞したり、姿勢が能動的な人を積極的な実行者にするなど、膨大なコミュニケーションコスト(正論が通じるわけではないというところがきっとコスト増となっている原因と思うが)がそこには発生するわけであり、そこに皆踏め込めないのだろう。

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