Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

顧客に発生するコストの構成要素は?

カスタマーエコノミー革命―顧客中心の経済が始まった

カスタマーエコノミー革命―顧客中心の経済が始まった

ETDBWを実現することの重要性は、「製品の価格は、顧客のコストのごく一部にすぎない」という原則に過不足なく要約されている。顧客が企業に支払う金額には、ビジネスに付随するすべてのコストが含まれているわけではない。顧客は、セールスマンへの連絡、発注、製品の受け取り、検品、製品の保管、請求書の処理、支払い、不良品の返品などの作業をこなす。こうした作業に要するコストを負担しているのは顧客であって、企業ではない。場合によっては、顧客が企業とビジネスをするときに発生する間接費は、実際に支払っている金額を上回ることもある。
『カスタマーエコノミー革命』 〜第1章 P.25〜

「製品の価格は、顧客のコストのごく一部にすぎない」というPhraseであえて「ごく一部」と強調をしているところが面白い。確かに、仕入先から請求書をもらうまでの間、請求書をタイムリーにもらうべく督促をしたり、電話やメールで金額内容だけでも確かめたり、送られてきた請求書の内容をチェックしたり、そのチェックの内容について問い合わせをしたり、顧客側には膨大なコストが発生し、ハマー氏の言うとおり、「実際に支払っている金額を上回ることもある」というケースも少なからずあると思われる。

多くの顧客にとっては自分で作業をするほうが、企業に頼むより手間がかからないのだ。結局のところ、企業が顧客の注文を処理しても、顧客はニーヅを企業に説明し、発注し、進捗状況を問い合わせる必要がある。顧客が企業との受け答えを苦痛と感じるのに、それほど時間はかからない。・・・<中略>要するに、企業が注文処理しても、顧客は雑務から解放されるわけではない。それなら顧客が自ら注文処理してしまうほうが手っ取り早い
『カスタマーエコノミー革命』 〜第1章 P.41〜

上記は情報量がより多いところで業務を実施するという考え方で、『フューチャー・オブ・ワーク』で強調されている「分散化」の一形態である。顧客にまで業務を移管してしまうという点が正に抜本的であり、効果は非常に高い。その反面、社内における業務移管についても一般的に躊躇する企業が多いという現実を考えると、顧客をも巻き込んだ業務の見直しまで踏み込むことのできる企業は少ないであろう。ハマー氏はさらりと書いているが、その実現の困難さを理解した上で、差別化の機会として取り組むことがが重要である。

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