- 作者: ポールグレアム,Paul Graham,川合史朗
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2005/01
- メディア: 単行本
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しかし、今自分が生きている時代の流行を見極めるには、意識的な努力が必要だ。距離を置いてくれる時間というものがない以上、自分で距離を作らなければならない。群集の中に埋もれるのではなく、なるべくそこから離れたところに立って、みなが何をしているか眺めるんだ。そして、特に抑圧されているアイディアに注意を払う。
『ハッカーと画家』 〜口にできないこと〜 P.52
仕事で資料を作成する時は、書いては読み返し、書いては読み返しを繰り返し、煮詰まってきたら時間を少しおいて読み返してみる。特に大事な資料は一晩寝かしてさらに読み返したりもする。自分の作業に対し距離をおいて客観視することは、日常的によく行うことでありし、日々の仕事はそれで事足りる。
が、もう少し大きなことをやろうとすると、または今以上に大きな成果をあげようとすると、一晩単純に寝かすだけでえることのできる客観的視点では不十分だ。自分で距離を作るのも一苦労であり、苦労を和らげるためテクニックも求められ(テクニックだけではだめだが)、ポール・グレアム氏の言うところの「抑圧されたアイディアに注意を払う」というのは一つのテクニックとして参考になる。
大抵トラブルプロジェクトには、プロジェクトメンバー内で言うにはばかれるアイディア(現在のテストレベルでは、稼動後問題が発生するのでテストのやり直しなどが求められるなど)があり、プロジェクトマネージャがその事実をつかんでどこまで解決できるかで、成功失敗が決まるということはありがちな話である。そういう意味でトラブルプロジェクトに放り込まれたら、雰囲気にそまる前に言うにはばかれるアイディアを素早く拾い、やっつけることが鍵になるようにも思える。
「〜という類のことはコンサルタントの口から言ってはいけなく、お客さんの口から言わせないといけない」というよう不文律があったりするが、そういうお客さんとコンサルタントの境界にこそサービス向上のためには注意を払わなければならないのでは、などとも思ったりする。