Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

Column

アイデアを行動にうつすためのもう一つのアイデア

本を読んだり、ネットを徘徊したりすると目から鱗が落ちるようなアイデアと出会うことは非常に多い。一方で、「読んで目から鱗が落ちただけではだめ」とか、「何冊も自己啓発書を読むよりも、2〜3冊に書かれていることを確実に実行するほうが大事」とか、頭…

インドのIT業界の階層構造事情

"日本のIT業界はなぜ重層的な階層構造をとっているのか”というエントリーに対するコメントで他国のIT業界構造への理解も必要との指摘を頂いた。日本と同様にシステムインテグレータがIT業界において大きな役割を果たしているインドを良く理解することは大事…

情報サービス産業におけるグロス・ネット

先日書いた"日本のIT業界はなぜ重層的な階層構造をとっているのか”というエントリーには多くの方にアクセスして頂いた。そして、私にとっての何よりの収穫は多くの方にブックマークも含めコメントやトラックバックを頂いたこと。これらの貴重なフィードバッ…

日本のIT業界はなぜ重層的な階層構造をとっているのか

外資系のソフトウェア・ベンダーに転職して1年が経つ。転職するまで日本のIT業界の構造についてじっくり考えることなどあまりなかったのだが、今の会社で仕事をしていると否が応でも考えなければならなくなる。日本のIT業界はアメリカと構造が異なる点が色々…

"Goolge社員が辞める理由"から垣間見るGoogleの姿

TechCrunchの"Goolge社員が辞める理由"というのがなかなか面白い。ざーっと全部のスレッドを読んで見たので、いくつか気になったポイントを紹介しながらコメントつけてみたい。 I had an equally ridiculous hiring process - although mine actually seemed…

読書によりバリエーションを持たせる宣言

私は"Casual Thoughtsの書庫"という書庫ブログを作成し、読んだ本の気になった箇所をオンライン上にためているのだが、今週末、今年読んだ本の一覧を眺めていて、少し自分自身のことが不安になった。勝間本を読み、梅田本を読み、ジョブズ本を読み、今年が終…

Amazon EBSと日本のシステムインテグレータの行く末

Amazon EBSというAmazon Web Serviceの新しいサービスが開始された。強烈なまでに投資と試行錯誤を繰り返しながら、着実にCloud Computingの持ち駒を増やすAmazon。きれいごとだけでなく、泥臭く、そしてスピード感をもって一歩一歩着実に進むその姿には本当…

プラットフォームとAPIについての素人臭い理解

前回のエントリーで、クラウド・コンピューティングの1つのモデルとして、蓄積したデータベースそのものをAPIを用いて開放し、再利用・相互連携のしやすいアーキテクチャを作るという手法を紹介したが、このAPIという言葉は私のようなコードを書かない人間に…

日本人の英語力とIT業界の階層構造のはなし

久しぶりにR30さんが”「日本語吹き替え番組禁止法」はいかが?”というエントリーを更新していた。ニュースであれ、映画であれ「日本語吹き替え」があらゆるところで、かなり手厚いレベルでなされていることそのものが日本人の英語力の低下を招いている、とい…

著作権のきれているはずの「ねずみ」に対する雑感

そろそろ3つになる娘がいる私。昨日は炎天下の中、家族サービスでディズニーランドにでかけ、肉体的な疲労が色濃いので、今日は軽いタッチで表題のことについて思ったことを書いてみたい。 ディズニーランドというのは、そもそも家族連れで賑わい、おとうさ…

情報大洪水時代を生き抜くために大事な2つのこと

過去2回のエントリーでNich Carrの“Is Google Making Us Stupid?”を取り上げたが、私なりの考えも混ぜながら要点をまとめ直すと下記のような感じになる。 モノを読み、考えるという行為・能力は後天的に形作られるものであり、神経学・生物学的レベルで脳の…

“Is Google Making Us Stupid?”考 その2

前回に引き続き、Nich Carrの“Is Google Making Us Stupid?”の要点の紹介とコメントを。 Wolf worries that the style of reading promoted by the Net, a style that puts “efficiency” and “immediacy” above all else, may be weakening our capacity for…

“Is Google Making Us Stupid?”考 その1

Nich Carrの“Is Google Making Us Stupid?”という雑誌への寄稿を読んだ。「Googleは我々人間を愚かにするのか?」とかなりあおったタイトルだが、中身を読んでみると実はGoogleはあまり関係ない。「インターネットの普及に伴う情報の大洪水とそれを効率的に…

「孤高の脳」を持ったプロフェッショナルの有り様

梅田さんの棋聖戦観戦記を読んだ。将棋の観戦記を可能な限りリアルタイムでウェブにあげていくという企画面の目新しさはそれはそれで面白いのだが、むしろ「孤高の脳」が激しくぶつかり合いながらも、世界で一番難しい課題を共同で解いていくような様に深く…

RSSリーダーとジェットスキー

RSSリーダーで大量の情報を拾い読みするということが習慣づいてしばらく経つ。 タイトルで瞬時に読む、読まないを判断し、読むと決めたものもざっと読み、文書に引き込まれるものがなければ、途中であってもそのエントリーは終わりにし、次のエントリーへ。…

「悪の帝国」にならないためのGoogleの巧妙な作戦

id:yomoyomoさんの”MicrosoftからGoogleに受け継がれる「悪の帝国」の座"というエントリーを読み、"Relax Bill Gates; It's Google's Turn as the Villain (ビル、リラックスしていいよ、悪役はGoogleの番だから)”というNYTの記事を思い出した。 Googleの…

Yahoo!買収断念考 Ballmerの選んだ「土俵」のはなし

MicrosoftがYahoo!の買収を断念した。3ヶ月でその実現可能性を見極め、迅速に意志決定を下したBallmerのその経営者としての「基礎体力」の高さにまず驚いた。買収に向けての用意周到さ、株主と世論に対し定量的に企業価値をコミットメントするその姿勢、「本…

ウェブにおける「文化」と「文明」

今、司馬遼太郎の『アメリカ素描』を読んでいるのだが、「文化とはなんぞや、文明とはなんぞや」という問いかけがなされており、あまりそういうことを真剣に考えたことのない私には大変興味深い。本書の冒頭で、司馬遼太郎は「文化」と「文明」を下記のよう…

宮大工に学ぶウェブ時代の学びの姿勢

最近仕事が非常に忙しく、帰りの電車の中で英語などを勉強しようとしても疲れからか中々みが入らないので、勝間本などの読みやすい仕事術系の本を読むことが多い。しかし、仕事術系の本というのは諸刃の剣で、相当に注意をしていても、読んだだけでなんとな…

Nich Carrの久しぶりの爆発と音楽産業

久しぶりにNick Carrネタを。 Nick Carrと言えば、日本のBlog界隈でもかなり知名度の高い辛口IT批評家。"The amorality of Web 2.0"というエントリーでWEB 2.0熱に対して理性的に冷水を浴びせ、かなりの非難・反論を受けながらも、同時にその論旨に対し多く…

マイクロソフト技術資料公開のニュース考

マイクロソフトのOSは複雑怪奇なAPIの使用をプログラムの開発者に強要し、そのプログラムを他のOSに移植することを極めて困難にしており、非常にけしからんという下記の話を読んでいるところに、 [rakuten:book:10784257:detail] 新しいもの作りの支障となる…

はてなの京都移転とウェブサービス事業の評価指標

はてなの京都移転が方々で議論をよんでいる模様。トヨタ自動車が名古屋から東京に移転するというのならそれなりに話題になるのはわかるが、とあるベンチャー企業の引越しがこんなに色々賛否をよんでいることはなかなか面白いことだと思う。 中でも私が面白い…

SalesforceのOracleへの身売の噂に覚える青臭いげんなり感

M&Aの噂が飛び交う季節だが、Tom Foremskiが情報源から聞いたところでは、SalesforceがOracleに1株あたり$75で売り込んでいるそうだ。Oracleがこの申し出に乗れば、Salesforceの価値は$9B(90億ドル)弱ということになる。 噂の域をまだでていないが、Sales…

オープンソースでなければ誰か保証してくれるのか

恥ずかしい限りなのだが実は"The Cathedral and the Bazaar"(日本語訳:伽藍とバザール)は名前はよく聞くのだが読んだことがなかった。新しい会社はオープンソースを取り扱う会社なので、「『伽藍とバザール』くらいは読んでおいてね」と会社の人に言われ、…

ビルゲイツの引退と一つの時代の終焉

Nicholas Carrが自身のブログの"Exit Gates"というエントリーで、FINANCIAL TIMESに掲載した自分の長文のコラムを紹介している。 When the founder of Microsoft retires this year, it will not only mark the close of a remarkable business career. It w…

資本の支配からの開放

今回も読み途中の『WIKINOMICS』から。本質的かつ重要な指摘が第3章でなされている。 For starters, the economics of production have changed significantly as we have moved from industrial to an information-based economy. In the industrial econom…

企業の中と外の線引き

『WIKINOMICS』でRonald Coaseの「取引コスト」の話がでてきて非常に興味深かった。 All this leads to what we and our colleagues call "Coase's Law":A firm will tend to expand until the costs of organizing an extra transaction within the firm be…

市場における支配企業の独占を崩す方法

かなり前の記事だがJoel Spolskyの"Strategy Letter III: Let Me Go Back! - Joel on Software"というエントリーを読んだ。取り扱われているトピックは、圧倒的なシェアを保持し、独占状況にある企業の支配を崩し、自らが覇権を握るにはどうしたらよいかとい…

日本の雇用規制と下請け丸投構造

重層的な下請け構造だって情報サービス産業の悪弊ではなく日露戦争後から広範に観察される産業構造で我が国の職業倫理や雇用規制に深く根ざしている。・・・ 多くのユーザー企業が要件定義から丸投げするのは、要件定義できる人材を内部で抱えておらず、中途…

Googleの会議術考

梅田さんの"鈴木健著「究極の会議」"というエントリーで紹介されていた、" How to Run a Meeting Like Google"というGoogleの会議術を読んでみた。会議術としての基礎の基礎がある一方で、仕事術にも通じるものがありなかなか興味深い。要点を私になりにまと…

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