Thoughts and Notes from CA

アメリカ東海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

経済的に成功するためのキャリアパス

変わらず根強く残る就職観 「一流大学に入って一流企業に就職する」、そんな古典的なキャリア観が廃れてから久しい。と、私は思っていたのだが2024年の就職人気企業ランキングをみるとそうでもないらしい。総合商社、保険会社、大手都銀などがトップ20の殆ど…

泉房穂氏の『社会の変え方』から見る市民の力

泉房穂氏の政治哲学 元明石市市長・泉房穂氏、ウェブの政治討論番組で最近引っ張りだこの人物だ。甲高くインパクトのある声量での歯に衣着せぬ発言、やるべきことを反対勢力に負けずにやりきる実行力とその実績、そして既存の仕組みをぶっ壊してくれそうなク…

『転換の時代を生き抜く投資の教科書』:後藤達也と共に学ぶ経済と金融の本質

後藤達也さんというと、最近注目を集めるフリーの経済ジャーナリストで、経済系のウェブの媒体で最近見ないの日の方が少ない人気振りだ。が、この方、注目は集めているものの、不思議と「飛ぶ鳥を落とす勢い」という言葉が似合わない。きっと「飛ぶ鳥を落と…

世界を旅する心で転職活動を考える

私の転職・移住歴 私は日本で20年働いた後、アメリカに移住してアメリカで10年働いている。転職は日米でそれぞれ1回ずつした。勤めていた会社が、日本でもアメリカでもIBMに買収されてしまい、買収と統合の荒波にももまれたきた。今までの海外移住、転職、買…

「言葉」が紡ぐ、わが家の文化

夕食支度時のひとこま わが家は夕食の支度を家族全員でする。支度中は、それぞれが自分の担当の料理をするのに黙々と手を動かす。ある日の夕方、冷蔵庫をあけて息子が鶏肉料理の担当であった私にこう問いかけた。 おとうさん、「チキ肉」だす?(夕食支度中…

「言葉」が紡ぐ、わが家の文化

夕食支度時のひとこま わが家は夕食の支度を家族全員でする。支度中は、それぞれが自分の担当の料理をするのに黙々と手を動かす。ある日の夕方、冷蔵庫をあけて息子が鶏肉料理の担当であった私にこう問いかけた。 おとうさん、「チキ肉」だす?(夕食支度中…

州が変われば道義も変わる、道義が変われば法律も変わる

「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~ 年末年始の休暇中に小川さやかさんの『「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~』を読んだ。 「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~ (光文社新書) 作者:小川 さやか 光文社 A…

アメリカ企業リストラの現実、イベント実施か雇用確保か?

アメリカ企業と聞くとレイオフ、首切りというイメージを持つ方もいるだろう。解雇規制が厳しい日本企業と異なり、アメリカの殆どの州では理由なく従業員との雇用契約を解消することができる。理由も告げられず、予告なくぶった斬られるなんて話はあまり聞か…

『ChatGPTエフェクト』 ホワイトカラーが生き残る分水嶺

2023年もいよいよ終わりに差し掛かっている。今年を振り返り、最も注目を浴びた技術といえば、ChatGPTを筆頭とした生成AIだろう。ChatGPTはユーザ数が公開2ヶ月で全世界で1億人を超えるという正に爆発的な拡大をみせた。 私がChatGPTを使い始めたのは今年の2…

『黒い海 船は突然、深海へ消えた』 とある海難事故から見るジャーナリズムの本質

2008年6月、太平洋上で漁船「第五十八寿和丸(すわまる)」が突如として沈没。4名が死亡し、13名が行方不明となる大きな海難事故がおきる。国の調査報告は高波での沈没と結論付けられているが、3名の生存者並びに救援にあたった僚船の乗務員の証言とは食い違…

『日本ノンフィクション史』 ノンフィクションの3つの魅力

私はノンフィクションが好きだ。大宅壮一ノンフィクション大賞や開高健ノンフィクション賞は定期的にチェックし、琴線に触れたものは必ず読むようにする。だが、改めてノンフィクションの魅力は何かと問われると、「フィクションでは出せないリアリティや臨…

『ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け』 老後に向けての貯筋

ここ数年の私のテーマは「老後に向けての貯筋」である。勿論、誤字ではない。金銭面の「老後に向けての貯金」は一定の目処がつきそうなので、健康面の準備を始めようという算段だ。若い時と同じライフスタイルでは歳を重ねるごとに筋肉は減るというのは定説…

『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』 日米の「親の愛情」の違い

2022年の日本の合計特殊出生率は1.26と過去最低とのこと。1989年に1.57という出生率がを記録し、「少子化」という言葉が広がってから、30年以上改善の兆しの見られない。本日紹介する『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』は、タイトル通り殆ど効果のみ…

『CHOOSE CIVILITY 結局うまくいくのは、礼儀正しい人である』 礼節こそ日本人の競争力

私はアメリカで10年近く仕事をしている。「自己主張の強い人たちが多いアメリカで、私程度の英語力で仕事をやっていけるのだろうか」という不安は当初はあったが、気づいたら10年も経ち、幸いなことに今のところ何とか生き残ってやっていけている。勿論、一…

『黙殺』 立候補者・被選挙権の平等を考える

「97%対3%」、本日取り上げる『黙殺』はこんな数字の紹介から始まる。これは何の数字かというと「2016年に実施した東京都知事選挙の際に、民放テレビ4社の看板ニュース番組が立候補者たちの報道に割いた時間の割合だという。21人の東京都知事選挙の立候補者…

『目的への抵抗』 遊び、適当、過剰を追求する勇気

人間が自由であるための重要な要素の一つは、人間が目的に縛られないことであり、目的に抗するところにこそ人間の自由がある。 『目的への抵抗』 ~P.3~ 「目的志向」という考えが全盛のこの世の中において、「人間が自由であるためには目的に縛られないこ…

『アメリカを動かす宗教ナショナリズム』 政教混濁の国アメリカ

先日アメリカ人の友人とメキシコ料理屋でビールを飲んでいた。そうしたら、彼の知人がたまたまいて、「おぉぉ、こんなところで会うなんて!」みたいな感じで盛り上がっていた。その知人としばらく雑談をしたのだが、どうもその知人は私の友人が通う教会の神…

『独占告白 渡辺恒雄 戦後政治はこうして作られた』 戦後政治はいかに終わったのか?

渡辺恒雄というと巨人に横綱審議委員というイメージが強く、一言で片付けてしまえば「老害」の日本代表のような印象が拭えない。が、それはマスメディアで作られた氏の一つの側面にすぎないことが『独占告白 渡辺恒雄 戦後政治はこうして作られた』を読むと…

「くまのプーさん」のパブリックドメイン化から「Winny事件」を考える

先日、子供から「『くまのプーさん』のホラー映画ができたらしいよ」と聞いた。「なんじゃそりゃ?」と思ったが、どうやら「プー あくまのくまさん」という映画が公開されているようだ。 映画『プー あくまのくまさん』公式サイト 時が経ち、婚約者のメアリ…

「Students Demographics」から考える移民社会アメリカ

この6月にノースカロライナからカリフォルニアに引っ越すわが家。引越し先の住まいをどこにするかが、今の一番の家族の関心事。アメリカの家選びは、子供が学校に通う場合は、まずは学区選びから始まる。”Great!SCHOOL.org”というサイトは、アメリカの公立学…

『アメリカ政治講義』 大統領令から考えるアメリカ政治

アメリカに住んで10年にそろそろなるので、アメリカの政治の仕組みについてもっと勉強しないといけないなぁ、と思う今日この頃。なので、最近は、アメリカ政治に関する過去に読んだ本を再度見返したり、新しい本を読んだりしている。学ぶほどに、新しい発…

『人生を変える断捨離』 「片づけ」を通した自己実現

先日読んだ『日常に侵入する自己啓発』で整理・片付け術が自己啓発書の大きな一分野となっていることに驚いた。整理・片付けというと、もっとオレンジページ的な家庭向けの雑誌で特集を組むような内容であり、自己啓発との結びつきが私には正直イメージしに…

『日常に侵入する自己啓発』 自己啓発書が浮き彫りにする世相

夏の一時帰国における食に次ぐ楽しみは「本屋巡り」だ。平積みにされた本たちを本屋で眺めてまわると、必ず思わぬ本との出会いがある。勿論、Amazonのおススメ機能にもお世話にはなっているのだが、そこであるのは自分の好みに会わせた必然的な出会いが多い…

『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』 自由と不自由は常に裏返し

一列に整列し、出発するリムジンバスに深々とお辞儀をする係りの人たち。今年の夏の一時帰国を終え、成田空港へ向かうリムジンバスから見た、新宿のバスターミナルでのワンシーンだ。これはアメリカでは絶対に見ることのできない風景。お辞儀は文化的なもの…

『物価とは何か』 値上げラッシュ万歳、日本経済再生の活路

日本のニュースを見ていると、生活用品の値上げについて最近良く取り上げられている。総務省統計局によると2022年10月の消費者物価指数は前年同月比+3.7%とのこと。かれこれ20年以上デフレにあえぐ日本経済にとっては、ようやく適正な価格転嫁が進みはじめ、…

『世間ってなんだ』 「社会」で幸せに生きる方

私はアメリカに住んでかれこれ10年近くになる。今までこちらで色々な日本人とお付き合いしてきたが、馴染んでいる人もいれば、あまり馴染まずに苦労している方もいる。勿論、言語の壁というは低くはないが、「こちらの生活は無理!」と思う方は言語プラス…

『何とかならない時代の幸福論』 社会への信頼と幸せな社会

先日、子どもたちが通う補習校で、コロナ禍以後初めて運動会が開催された。久し振りの大規模イベントであったため、運営の方々の苦労と努力は計り知れないものがあったことは簡単に想像できる。当日は晴天に恵まれ、大きなトラブルもなく、生徒たちも久し振…

『Au オードリー・タン 天才IT相の7つの顔』 台湾の推進する「デジタル民主主義」

オードリー・タン、その名前や彼女の功績は何度も耳にしたことがあった。35歳の若さで台湾のデジタル担当大臣に就任し、コロナ禍でマスクの供給が逼迫する状況で、マスクの在庫管理・供給管理システムを迅速に作り、問題を一気に解決した人物として名高い。…

『ウクライナ危機後の世界』 ロシアのウクライナ侵攻後の世界を読み解く

2月から始まったロシアウのクライナへの侵攻を端に発した戦争は終わる気配を見せない。どのような終結を見せるかは未だ不透明であるが、この戦争がどのような形を迎えるのかで国際秩序は大きく変るということだけは確かだ。一方で、世間の雰囲気にこの戦争に…

『ヒルビリー・エレジー』 自由の国アメリカに内在する階級社会

『ヒルビリー・エレジー』というと、前々回の大統領選挙でトランプ旋風が巻き起こった際に話題になった本だ。「ヒルビリー」というのは、アメリカ南部の貧しい白人労働者階級の人びとを指す言葉で、同じエスニシティでありながらもアイビーリーグの大学出身…

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