Thoughts and Notes from NC

アメリカ東海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

『1兆ドルコーチ』 アメリカ西海岸のテック企業のエピソード集

先日、一週間の会社の管理職研修をうけた。私はアメリカの研修が正直苦手だ。こちらではただ講義するタイプの研修というのは好まれないので、クラス全体での議論、グループに別れてのディスカッション、ケーススタディ、そしてロールプレイなどが盛りだくさ…

『日本人の勝算』 生産性向上こそ日本人の勝算の鍵

私は今米国に住んでおり、日本で保有しているマンションは三菱地所系の会社に委託して他の人に貸している。昨年のゴールデンウィークにその物件の給湯器が壊れてしまい、その間の銭湯代(3千円程度)を支払って欲しいという依頼が借り主の方からあり、快諾…

『人工知能は人間を超えるか』 人工知能の三度目の春

先日放映された「情熱大陸」は囲碁棋士芝野虎丸氏のドキュメンタリーであった。芝野虎丸氏は19歳にして「名人」位を奪取した囲碁会の新世代スターだ。勝ち負けが全ての勝負の世界において、「やりたいことが見つかれば、明日にでも囲碁は辞めてもいい」と事…

『「帝国」ロシアの地政学』 隣国ロシアの行動原理

私のロシア、ソ連についての知識の変遷を読書から追うと、『旅行者の朝食』などをはじめとする米原万里のエッセイ、『自壊する帝国』を代表とする佐藤優の作家初期の作品、そして元外交官の東郷和彦の『北方領土交渉秘録』などがあげられる。勉強不足からか…

日本の英語教育考 受動態の怪

娘が先日、日本の中2の模試を受けたところ、英語がまさかの70点代であった。娘は米国在住歴6年で、大学入試センター試験の読解問題は試験時間を半分ほど残し190点以上を取得し、今夏に初めて受けたTOEICも900点台半ばという高得点で、英語は相当できる。元々…

『ブロックチェーンの描く未来』 記録と契約のパラダイム・シフト

「あれ、筆者は大学の教授、研究員だったけ?」という錯覚を覚え、筆者の経歴を確認することが読んでいる間に何度かあった。本書『ブロックチェーンの描く未来』に溢れるのは新技術への熱狂といよりアカデミックな探究心だ。 ブロックチェーンの描く未来 作…

『WHY BLOCK CHAIN』 ブロックチェーンの切り拓く未来

私はオープンソースを事業の中心に据える会社に勤めてもう10年以上になる。転職した当時は、ビジネスの世界ではまだメインを張れるほどメジャーではなかった。転職前の会社は日本法人が2万人以上いる外資系の巨大IT企業に勤めていたので、「お前、ノーア…

『暇と退屈の倫理学』 高度消費社会を生きる知恵

シックな木目調の机と椅子、少し和風で温かみのある光が溢れる照明、客席の中央に配置され、火がゆらゆらと揺れる暖炉、カロリーが表示され脂っこいアメリカンフードとは全く異なる健康的な食事、プラムジンジャーハイビスカスティーとカタカナで書くとなん…

『AI救国論』キャリアの獣道と開かれた学習環境

本書『AI救国論』の第一章は「日本衰退の責任は若手の実力不足にある」という刺激的なタイトルが付されている。老人が若者への責任転嫁で書きなぐったような本なら読むに値しないが、31歳にして東京大学准教授でありながら、代表取締役として株式会社Daisyを…

社内異動から垣間見るアメリカのキャリア模様

アメリカで働き始めてかれこれ6年ほどになるが、この11月から今まで働いていたファイナンスの部署を離れ、自分で希望をだして別の部署に異動した。渡米以後、初めての異動となり、その経験を通して、いくつか興味深い発見があったので本エントリーで共有した…

『なぜ倒産、平成倒産史編』転ばぬ先の杖

「敗軍の将、兵を語る」は日経ビジネスの人気の連載だ。Googleで「敗軍の」とうつと、「敗軍の将は兵を語らず」よりも上位に「敗軍の将は兵を語る」という言葉が候補としてでてくることからもその人気ぶりがうかがえよう。倒産に追い込まれた経営者たちが、…

『なんでもわかるキリスト教大事典』 キリスト教を横軸で捉える

先日読んだ『キリスト教から読む世界史』がキリスト教を歴史という縦軸で捉える本だとしたら、本書『なんでもわかるキリスト教大事典』は教派という横軸で捉えている。 なんでもわかるキリスト教大事典 (朝日文庫) 作者: 八木谷涼子 出版社/メーカー: 朝日新…

『キリスト教からよむ世界史 』 5年越しのお勉強

アメリカの日常生活にはキリスト教が溢れている。街の至る所に教会があるし、日曜日の午前中は教会に礼拝に行く人が多いためゴルフやヨガはがら隙だし、子どもに人気のファストフードのチックフィレイ(Chick-fil-A)は安息日である日曜日には営業をしない。…

甥がアメリカにやってきた アメリカの日常と日本の日常

この春に大学生になった甥がアメリカを訪問したい、と言っているというのを聞き私の心は踊った。その甥は私の兄の長男であり、所謂初孫であった。初節句には巨大鯉のぼりを引っ張り出すという両親の張り切り様は当然のことであるが、私はこの甥を大いに可愛…

『妻のトリセツ』 「話を聞かない夫」に「話」を聞いてもらうのに大事なこと続編

何年も前に書いたエントリーなのに、未だに高アクセスのものがいくつかある。『「話を聞かない夫」に「話」を聞いてもらうのに大事な5つのこと』はその一つなのだが、アクセスが多いだけでなく、怒髪天をついた女性がその心情を吐露するコメントを継続的によ…

『ティール組織』へのありがちな誤解

全面緑色の派手な表紙に、「上下関係も、売上目標も、予算もない!?」という言葉が踊るこれまた派手な黄色の帯の本と言えば、話題になっている『ティール組織』だ。 ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 作者: フレデリック・ラルー,…

アメリカでカスタマーサービスとやりとりする際の十箇条

アメリカ生活できってもきれないのはカスタマーサービスとの電話やチャットのやり取り。やれ請求書が間違っている、やれ届いた品物が来ない、やれ予約内容が違っている、やれネットワークがつながらない、などオペミスや小さなトラブルにあふれるアメリカ。…

アメリカで日本のお風呂を夢見るはなし

私は湯船につかるのが大好きだ。芯まで冷えた体がじわじわと温められるぬくもり感、足腰の疲れが緩みほぐされていく心地良さ、うっすら汗をかきつつ体の中の不純物がでていく爽快感、など入浴は晩酌につぐ至福の一時である。この年末年始は渡米以後初めて日…

『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』

あまり将棋界に詳しくない私が棋士先崎学を私が知ったのは、人気将棋漫画の『3月のライオン』だ。先崎九段は『3月のライオン』の監修をされており、その単行本の中で将棋にまつわるコラムを掲載し、将棋界の広報活動に尽力されてきた。その豊かな表現力とユ…

アメリカ生活の英語小噺 〜子育て編〜

2013年11月に日本からアメリカに移住し、先日めでたく5周年を迎えることができた。当時、5歳と8歳だった子供たちは当たり前ではあるが10歳と13歳になり、未だに四苦八苦する場面はあるものの、アメリカでサバイブしているのは手前味噌ではあるが立派だと思う…

アメリカで働いて感じる日本人の強み

家族共々アメリカに移り住み、そろそろ5年目を迎えようとしている。私はいわゆる赴任ではなく、普通のアメリカ企業の社員なので、自身のパフォーマンスや会社の業績次第で、いつクビをきられてもおかしくない。言語の壁も含めて未だに苦労は絶えないが、それ…

続「人は自由を獲得するために働いている」

「君はディレクターに昇進したくないのか?」、先日私のマネージャーと話をしている時にそんなことを聞かれた。彼曰く、1)私は日々の業務遂行能力、立ち上げたプロジェクトの推進能力については申し分ないが、中長期的なビジョンを描く能力にかけており、2…

アメリカで臼を保管する方法

念願の自分の臼と杵をアメリカで入手した私。はるばる日本から運ばれたきた臼と杵を、とりあえずガレージに角材を二本しき、大きめのビーチタオル2枚でくるんで保管していたのだが、翌朝衝撃の事件が発生。子どもを補習校に送る前にビーチタオルをめくって臼…

臼と杵を日本からアメリカにどうにかこうにか運んだ話

「アメリカで自分の臼と杵を使って家族で餅つきをしたい」 さして壮大ではない、ささやかな夢が先日ついにかなった。 私は現在、家族とアメリカに住んでいる。日本に住んでいた頃は子どもの通う幼稚園で餅つき力をかなり鍛えられ、米国移住後も日本人コミュ…

体重は減らすものではなく、生活習慣についてくるもの

「外食は控える」、「万歩計をつけ、一日に一万歩は歩く」、「筋肉をつけ、基礎代謝をあげる」、「炭水化物をとらない」、「毎日体重をはかる」などダイエットのコツというのはあげればきりがない。私は社会人になってから増えた体重をずっと減らすことがで…

『日本人が海外で最高の仕事をする方法』 多様性と向き合い、自分を変える

『日本人が海外で最高の仕事をする方法』というタイトルで、Amazonのレビュー結果が抜群。海外で仕事をする日本人としては、これは読まないわけにはいかない、と手にとって見た。これは確かに良書である。 日本人が海外で最高の仕事をする方法 ― スキルより…

アメリカ在住者の一時帰国 〜ハナセルを使用してみた〜

日本からアメリカに移り住んでもう丸4年が過ぎ、毎年恒例の夏の日本への一時帰国も今年で4回目となった。初年度は「日本に一時帰国」という経験がとにかく生まれて初めてのことだったので、細かいことも含めて試行錯誤の連続。アメリカの職場とのやり取り、…

アメリカの負け組の逆襲とオススメの本二冊

「まじかよ〜」と朝から床にへたり込む小学校5年生の娘、昨年の大統領選挙の開票翌朝にトランプを勝利を告げた際のリアクションである。わが家はアメリカのノースカロライナ州に住んでおり、娘の通うアメリカの現地校は白人の比率が26%と非常に低い。学校内…

海外でパスポートをなくした話

旅にトラブルはつきものである。私はおそらく他の人よりもトラブルと格闘する確率が高い。妻からは「あなたは問題解決能力が高いが故に、トラブルを回避することへの注意力が散漫だから、よくトラブルに巻き込まれるのよ」と言われた。遠回しに褒められてい…

許してやれよ、「おとう飯」

内閣府の「おとう飯」キャンペーンが炎上しているとのこと。男性の炊事への参画を促すキャンペーンのようで、私からみれば厚労省の「イクメン」キャンペーンと大差はない気がするのだが、敢え無く炎上してしまったようで、色々なご苦労の末、推進されてきた…

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